わんちゃんが、年を取るとクッシング症候群という内分泌の病気になることが多くなります。正確な発症率は不明ですが、シニアには珍しくない病気といわれています。人間では、人口100万人あたり40人だそうです
1)どんな病気
副腎皮質機能亢進症といって、コルチゾールというホルモンが副腎皮質からたくさん出てしまう病気です
2)原因は
下垂体性(頭の中、外からはわからない)が90% 10%が副腎の腫瘍です
3)治療
90%の下垂体性のクッシング症候群はお薬でコントロールします(治るわけではないのですが)
副腎の腫瘍の場合は外科手術か放射線治療
4)症状
典型的なクッシング症候群ですと 腹部膨満、皮膚がうすくなり、脱毛、皮膚炎
夏でもないのにハアハアしているパンティング
運動不耐性(筋肉がおちる、骨がもろくなる)
皮膚の石灰化や膿皮症といった皮膚炎 肘に潰瘍などの感染症
なんといっても、飼い主さんがきになる、多飲多尿、多食
5)予後
よく食べて元気に、みえるから治療の必要を感じないと思いますが、
免疫抑制、血栓ができやすい、腎臓が悪くなる、コレステロールが高い、高脂血症
インスリン抵抗性になり、糖尿病になってしまう
胆泥症(胆のうに胆泥がたまり、それがガチガチに固まると胆のう粘液嚢腫になり、それが破裂すると、命の危険)
感染症になりやすく、皮膚病が悪化して、痒い痒いのストレスたまる
ストレスは万病のもとですから、健康寿命をまっとうできないかもしれない
典型的なクッシング症候群になり、糖尿病にまでなったら、治療をすると思いますが
なんちゃって、クッシング???っていう軽度の場合で、あまり臨床症状がない場合もあります。そんなグレーゾーンの場合でも、
極少量の内服(1日2回)が推奨されています。ごく少量なので、副作用も少なく、健康寿命の延長やQOL
の改善が期待されます。薬を飲まない場合は、放置せずに2.6か月おきに定期的にチェックするのがよいといわれています。
6)クッシング症候群の背景には痒い皮膚炎とつらい関節痛があるかも
いままで、わたしはクッシング症候群になったから、皮膚炎になったのだと思っていましたが
昨日のセミナーでは
痒い痒いというつらい皮膚病や、関節の痛みというストレスが視床下部を刺激して下垂体が副腎に指示して
コルシゾールをたくさん出させているということです。そして、それがさらに悪循環になり、クッシング症候群を治りにくくしているということです。(皮膚炎と関節痛が先にありきってことですね!)
副腎がつくるコルチゾールの産生抑制する内服だけでなく、ストレスの原因になっている皮膚病や関節、歯科などを治療することによって
、コルチゾールが正常化したケースもあるそうです。
やはり、ストレスは万病のもとですね”!!
痒がっている、痛がっているわんちゃんの苦しみによりそい、ストレスを減らして、健康寿命をまっとうさせてあげたいですね
まずは健康診断で、ALPが高い、コレステロールや中性脂肪が高い、クレアチニンが低め、肝臓の数値が高い、などのことがあったら、
クッシング症候群かどうかの精密検査をうけるとよいですね
ワンプロでストレス発散!!