先日、イヌの心臓の手術を見学してきました。犬がシニアになると、心臓の病気になることが多いですが、その原因の多くは僧帽弁閉鎖不全症といって加齢による心臓の弁膜症です。今までは、薬で心臓をサポートするような治療(強心剤、利尿剤など)だけだったのですが、近年は、人間と同じように、弁膜症を手術による治療が行われるようになってきました。
小さな心臓を開いて(心膜切開)、ペロペロと切れた細い糸のような腱索(心臓の弁膜を支えるもの)をみせてもらいましたが、
その修復は、ゴアテックスの丈夫な糸で新しく腱索をつくって僧帽弁に縫い付けて、肥厚した弁膜を縫って小さくすることによって、血流の逆流を修復するという高度な技術の手術でした。
3時間に及ぶ麻酔時間、開心術のときは、心臓の動きをとめ、体外循環にきりかえ、あえて体温をさげて、小さな犬は輸血を必要とする場合もあり、本当にたいへんな手術でした。1日3件もしても、手術まちの待機わんちゃんたちがいっぱいるそうです。
麻酔って、さめなければ、永遠の眠りになってしまうので、本当に生と死のはざまだなって思いました。
肺水腫になると、余命半年といわれています。心臓の手術をみて、ペロペロの切れた腱索(弁膜を支えるもの)を実際にみると、これじゃあ、いくら薬飲んでも治らないわ、、やはり、物理的に治さないと難しいんだなってしみじみ思いました
術後のわんちゃんをみると、大変、元気そうでした。わたしからみても、本当に何から何まで考え抜かれ、疼痛管理もきちんとされた、パーフェクトな手術で、チーム医療のなせる業だなって感嘆しました。
心臓病に苦しむわんちゃんたちに新しい選択肢ができ、獣医療の進歩をまじかにみることができました。
心臓病にならないためには、なんといっても、
歯磨きです!
歯周病菌と心臓の弁膜症は因果関係があるといわれています。がんばりましょう!